コーヒーはどうやってる作るの?→こだわりの生豆管理、ハンドピック、焙煎、密閉、エイジング

当店ではコーヒー豆を焙煎する前後の品質管理にとても気を遣っています。 

写真はサンプルロースト用のものですが、出荷用もほぼ同じ工程を経ています(道具や作業場所が違うだけです)。

このあたりは工場さんごとに結構違うところだと思いますので、あくまで当店の場合はこうしているということでご参考にしていただければと存じます。

 

  • 生豆は小分けにして真空パック
  • 目視ハンドピック
  • ブラックライトハンドピック
  • 表面を研ぐ
  • 焙煎
  • 急速冷却または寝かせる
  • 再度表面を研ぐ
  • 再度目視ハンドピック
  • 真空パック
  • エイジング

 

生豆は小分けにして真空パック

大手チェーン店や現地に農場を持つレベルでめちゃくちゃ気合の入った焙煎所さん以外は、豆は卸業者さんからキロ単位で仕入れることが多いと思います。
うちの場合は複数の業者さん+場合によってはAmazonや楽天などで生豆で購入します。

30kg単位の場合は麻袋、それよりも少ない単位だと別の袋に入った状態で届くことがほとんどです。
一般的に生豆は長期保存できるとされているのと、大手さんならすぐに使い切ってしまうでしょうから、そのまま保存されているお店がほとんどなのではと思います。

うちの場合は届いたらすぐ1kgぐらいの小分けにして真空パックします。

コーヒーの生豆は真空パック

原理的にも実験的にも、そのまま保存する時と真空パックする時では味が変わると感じます。新米と古米の違いを思い浮かべていただくと近いかもしれません。そのままだと甘みや香りが飛ぶ感じがします。

また豆の感想具合は焙煎に影響を与えますので、できるだけ安定した焙煎のためにも乾燥や表面の酸化はできるだけ避けたほうがいいと感じています。

 

目視ハンドピック

ハンドピック=手で拾い上げるという意味で、不良品の検品のことです。
焙煎前にまず、ざざーっとバットなどに広げます。

ハンドピック前の生豆

そしてここから、黒い豆(腐敗してます)、鮮やかな緑色がある豆(カビてます)、割れてる豆(切り口から何か入っていてもおかしくない)、穴が開いている豆(虫食いなど)、大きさが違いすぎる豆(焙煎のムラを防ぐ)、茶色くシワシワで硬く乾燥している豆(多分収穫時点で死んでます)、その他直感的に危なさを感じた豆、をどんどん取り除いていきます。

ハンドピックで省かれた悪いコーヒー豆

 これは豆の品質というか農場によって全く割合が違い、キロ当たり10個ぐらいしか出ないところもあれば、数十%が検品落ちすることもあります。

高い豆は比較的出にくく、アフリカ系は全体的に出やすい、などの傾向はあります。

 

ブラックライトハンドピック

ここからさらにブラックライトを当てて白く光った豆を取り除きます。

ブラックライトを当てたコーヒー豆

ちょっとみづらくて申し訳ないです。。。写真や動画にうまく写らず。。。
ちなみにこの写真の場合、このあたりは除去対象です👇

ブラックライトを当てて不良品が見えるようになったコーヒー豆


お恥ずかしながら正確にはどの成分が反応しているのか把握できていないのですが、経験上、目視でハンドピックをしたものの大部分は光り、目視チェックを漏れた光る豆も除去した方がさらに味わいがクリーンになることがわかっているので、うちではブラックライトハンドピックを採用しています。

新鮮でも光る食品もあるようで、常に光る=悪い食品というわけではありません。コーヒー豆はたまたまそうだったというだけです。みかんやお米なども痛んだり古くなると光るようです。

参考:ミカンが光る (bunmori.tokushima.jp)
参考:食材が光る (bunmori.tokushima.jp)

買った時点では青っぽい匂いのする生豆が、ハンドピックを経ると清潔でパンのような香りになります。
一方、ダメなほうの豆ははっきりと頭痛がする匂いがします。

 

表面を研ぐ

この工程は主に砕けた豆やシルバースキンや表面についたホコリなどを焙煎機に持ち込まないためです。

シルバースキンとは豆の薄皮のことで、豆の内部から出てきているものなので原理上全てを取り除くことはできないものの、これが多いと渋みが強くなったり冷めた時に急激に酸味が増しやすいので、できるだけ取っておきます。
割れ目から見えてるもけもけがシルバースキンです👇

シルバースキン

具体的には水を入れずにお米を研ぐようなノリでわしゃわしゃと表面を研いでいます。

焙煎前のシルバースキン除去

ここでお水で洗うお店もあるようです。
うちは味や香りが薄くなってしまうのを避けるため乾いた状態で研いでいます。
雑菌的なものは焙煎時に死滅しますので大丈夫です。

 

焙煎

ようやく焙煎です。

うちでは複数の焙煎機を使い分け、豆の種類や目指したい方向性などに応じて使い分けています。

参考:コーヒー焙煎方式の違いは?→熱風はクリア、直火はコクと甘み
参考:コーヒーの焙煎度が同じでも店によって味は違う?→主に香りと後味が違う
参考:コーヒーの焙煎(ロースト)で味は変わる?→お肉の焼き加減と一緒

 

急速冷却または寝かせる

焙煎後は、豆の個性や焙煎の目標に合わせて急速冷却することがあります。
うちでは大きな扇風機のようなもので空気を吸う機械で一気に冷やしています。
逆に唐揚げのようにそのままゆっくりと室温までおいて中まで火を通すこともあります。
味を安定させるために地味に重要な工程です。

 

再度表面を研ぐ

先ほど同様、ざるに入れてシルバースキンを取り除きます。
焙煎すると表面についていたシルバースキンも剥がれ落ち、先ほどとは比べものにならないほど出てきます。
概ね焙煎中に剥がれ落ちるものの、焙煎機の構造によっては落ちにくいものもありますし、何より味に影響するのでしっかり落とします。
ちなみに焙煎後のシルバースキンは一般的にチャフといいます。

チャフ(シルバースキン)

 

再度目視ハンドピック

明らかに焦げている、ちょっと生焼けっぽく見える、という豆を取り除いていきます。
焙煎方法でムラ度合いは違います(直火はカラフルで熱風は均一です)し、機械内の居場所で火の入り方も変わりますし、そもそも豆によってもムラになりやすさはかなり違うので、これもやはり取り除く量は毎回変わります。
複数農場から集めているような組合型のものだと農場ごとで乾燥度合いが違いますしね。
焦げ以外は豆の特徴と捉えてあまり神経質にとりすぎないようにしています。

焙煎後のハンドピック

 

真空パック

焙煎後すぐに出荷する場合には、そのまま計量・粉砕・ドリップバッグに入れ、内側がアルミでバリアされた化粧袋に真空パックします。
実際には輸送中に熟成が進みガスが出るのでお手元に届く頃には少し膨らんでいるかと存じます。

個包装

 

逆に一旦熟成させてから個包する場合には、まずすぐにまとめて真空パックしておきます。

焙煎後の真空パック

焙煎後の真空パックは香味成分を吸ってしまうので良くないという話もあるものの、それを加味しても密閉する方が

香りが飛ばない(いい香りがする=空気中に飛んでいるですので、空気の入れ替えがない方がもつ)
そのまま冷凍庫に入れることで熟成を止めることができる(美味しさのピークをお手元にお届けするタイミングにずらせる)

という理由で圧倒的に美味しくお届けできると判断してこのようにしております。

出荷タイミングでは冷凍庫から取り出し、一度常温に戻します。
個包装の場合はすぐにお湯を入れて使い切るので冷蔵庫や冷凍庫から取り出してそのまま開けても大丈夫ですが、量が多いと湿気を一気に吸ってしまって少し品質が落ちますので、一度常温に戻してから開封して個包装することで、味のピークでお届けできるというわけです。

コンビニやスーパーの袋コーヒーも同様に大袋のまま冷蔵庫に入れて出してを繰り返すと一気に味が落ちますのでご参考になれば幸いです。

 

エイジング

焙煎が終わると、コーヒーの味はどんどん変化していきます。
実は焙煎当日のコーヒーはピークに比べると味や香りが薄いことが多いです。
焙煎後に適切な時間熟成させてから飲むことをエイジングと言います。

参考:コーヒー焙煎のエイジング期間は?→浅煎り三日、深煎り二週間

当店の場合、超新鮮便以外の場合はできるだけお手元にお届けするタイミング近辺にピークを持ってくるようにエイジングしております。

 

こんなふうに作っているコーヒーをぜひお試しいただければ大変幸いです👇

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最高の一杯に出会えますように。